店舗持ちをやめたスコーン専門店・東京スコーン店長の日々雑記
カッピング会に参加する際の注意事項
これまでのカッピング会で、気が付いたことをリストしておきます。

1.自分の「香り」に気を付けましょう
  以下の「香り」は、カッピング会会場ではかなり
  目立ちます。そしてコーヒーの酸の特徴を取る上
  でかなりの障害になり、かつ周りの参加者の迷惑
  になります。ご注意ください。

  お風呂入りたての「香り」
  →シャンプー・コンディショナーなどヘアケア製品
  →ボディソープやローション関係

  お化粧の「香り」
  →化粧水は、かなり効きます

  たばこの匂い
  →たばこの煙ぷんぷんのところにいた人は、衣服に
   それを付着させています。

  口の周りの臭い
  →こういう人は皆無でしたが、歯磨き粉の匂いや、
   単なる口臭、とくに胃が悪いときの口臭に注意。

  オーデコロン・香水の「香り」
  →こういった人は皆無でしたが、念のため挙げておきます。
   香りを取る場にこういうものをつけてくるのは論外です
   注意しましょう。


2.できるだけ、すする練習は、各自しておきましょう
  練習してないと、結局自分が損します。
  
  すすり方のページ:
  カッピングとは?http://blog.tokyoscone.com/?cid=9


3.酸の特徴を、とにかく言葉にしましょう
  感じる香りを表現するのは難しいですが、笑われてもいい
  ですからとにかく表現に努めてください。
焙煎臭(2010/6/27)

これは新しい発見といえるかもしれないカテゴリーです。ディフェクト臭とは違って、舌にひっかかる、あるいはぴりっと辛い感じがする豆がたまにあります。これは一緒にカッピングをするほかの人も感じるものです。回を重ねて色々と議論した結果、焙煎がその豆にフィットしていないときに感じることが多いのがわかりました。「焙煎臭」と名づけています。

ぴりっとくるのは、大抵「焦げ臭い」感じが多いです。苦渋い感覚に作用するのでは、と思います。ドリップでは感じることは少ないかもしれませんが、カッピングをする人のうち、特に味覚が鋭い人は、ドリップでもはっきりとこの「ぴりっと」をキャッチできるようです。

焙煎臭、今まででどういう傾向があったか、というと、
煙っぽいぴりっと→ダンパー処理に問題があった
ぴりっと渋い→炒り止めが遅れた
というようなことが多かったです。

ただし、このカテゴリーは、正規のカッピングプロトコルには存在しません。プロトコルでは焙煎内容は統一されているのが通常だからです(といっても炒りの基準は少しずつ変化してるんですが)。家庭でやるカッピングは、それこそいろいろなお店の、いろいろな焙煎による豆が対象になりますから、焙煎臭というのは、家庭でやるカッピング独自のプロトコルである、ともいえます。

ディフェクト臭(2010/6/25)

カッピングの評価法の中に、注釈として「ディフェクト」という項目があります。ディフェクトとは、豆の汚れと欠点があり、欠点についてはコーヒーのフレーバーに著しく悪影響を及ぼす要素のある豆が混入されている、という指摘につながります。

ディフェクト臭は「ゴムのような」「サワー(すっぱい!)」「発酵した臭さ」「薬品臭(塩素っぽい)」などが代表的です。
ディフェクト臭は、淹れたコーヒーの時間が経てば経つほど出てきます。さらに抽出後の湯の温度が下がってきたときに、この臭気を特によく感じとることができるようになります。カッピングは、こういった臭をキャッチするのも簡単にできます。プロの世界では、カッピングは時間をかけませんが(複数銘柄を同時に行うことが多かったり、第一印象の香味を取ることを目的としていたりで)、家庭でできるカッピングでは、時間をかけてひとつの銘柄を色々な角度からチェックする余裕があります。ディフェクト臭のチェックは、カッピング開始から6分以上置いてからやると、ものすごくわかったりします。

巷でいう「おいしいコーヒー」と、「そうでないコーヒー」の違いで共通することは、「淹れたてはおいしいけれど、時間が経つと飲みたくなくなる」というようなものが多いと思います。その理由のほとんどは、このディフェクト臭によるものです。湯温が高いうちは、香味成分がすべての成分に勝っていますが、温度が下がって香味成分が弱くなると、違うニオイがしてくるのが、ディフェクト臭です。

ディフェクト臭から逆に考えていくと、良いコーヒーとは、時間が経っても香味の力が落ちない、あるいはディフェクト臭がないことが、必須条件となるといえます。

ディフェクト臭の原因物質は、何でしょうか?基本的には「欠点豆」といわれているコーヒー豆ですが、それ以外にに豆全部が発酵してしまっている場合にも、このディフェクト臭はします。特に日本に流通するコーヒー豆にはこの傾向が顕著だ、というのを知ったのは最近のことです。これは、コーヒーを船で運ぶときに赤道を通り、その時にうける高温のダメージで豆が枯れたり、発酵したりしてしまうのが原因です。堀口珈琲やワイルド珈琲などでは、スペシャルティーコーヒーをリーファーコンテナ(冷蔵庫つき貨物船)で低温管理して輸送するため、赤道上の高温帯を通っても豆の品質の変化・劣化がおこりません。この取り組みをしているかしていないかで、同じスペシャルティーでも品質が天と地の差に開いてしまいます。。

たとえ80点以上のスペシャルティーという評価を得たとしても、その後の管理が悪ければ、スペシャルティーではなくなってしまいます。

 

カッピングのすする技術2(2010/6/24)

 カッピングのすする技術。前回4つのポイントを解説しました。では、それぞれについて細かく。

1.すするには、腹式呼吸が必要です
鼻先、口先ですすっている人が多いですが、それでは強くすすっているうちにはいりません。強くやろうとすると、口の中で、舌の上に載った液体を勢いよくうしろに放り込むようなすすり方をする、というイメージを持つのですが、それでは100%むせます。
では、どうすればよいのか?

まず、ご自身で鼻をすすってみてください。

どこの筋肉を使っていますか?

おなかの筋肉をつかっているはずです。鼻をすするのは、男女問わず共通で腹式呼吸をしています。この鼻をすするやりかたを、コーヒーをすする技術に応用します。
鼻では、文字通り鼻を動かすのですが、それを唇にイメージしなおして、口でやってみてください。
口をとんがらせて、唇で空気を勢いよく吸い込むイメージで、「ひゅー!」「ひゅー!」と空気を吸う練習をしてください。鼻をすするのと同じおなかの筋肉を使っていませんか?それができるようになったら、さらに空気を強く吸う練習をします。おなかの筋肉が激しくつりあがるようになったら、すする技術の基本はできたも同然です。


2.のどにぶちあてるイメージで強くすすります
#1ができたら、スプーンを口にあててみます。先ほど練習した口をとんがらせ、スプーンを口にあて、液体を吸い込む。

むせるでしょ?

それは、どこに液体をあてればよいか、調整をしていないからです。
ということで、


3.むせないようにするために、首で角度を調整します
舌で自分ののど(上あご)をさわってください。舌を奥にびよーんと伸ばしていくと、鼻にぬけていく穴が2つあると思います。そこより奥に、すすった液体が当たると、むせます。さらに自分ののど(上あご)をさわっていると、真ん中に骨がでっぱっているのがわかると思います。液体は、その骨の出っ張りから、2つの鼻に抜ける穴のすぐ手前の範囲にむけてぶちあてることを目標にします。

確実にむせる方法は、上を向いてすするのです。むせない方法は、下を向いてすすります。上を向くのと、下を向くの違いは、むせる面が、地面と直角になる(=上を向く)か、平行になる(=下を向く)かの違いです。むせないようにするのは、むせるのどの面を、地面と平行になるようにする。

首だけ下を向いてすすってみましょ。
ただし、背中も丸めて下を向いてしまうと、今度はのどの根元にあたった液体が跳ね返って、むせる面にあたってむせ返ってしまいますから注意が必要です。


4.イメージをつかむために、霧吹きを使いましょ
霧吹きのノズル部分だけを引っこ抜いて、コーヒーが入ったグラスに入れ、自分ののどにふきつけてみてください。普通にコーヒーを飲み込むのとは違うフレーバーをほんのりと味わうと思います。その感覚が、カッピングで得られるフレーバーの感覚です。自分の口ですすることができるようになると、吹きつけはより強烈になりますから、もっとフレーバーを感じることができます。

「カッピングができるようになるとは、どういうことか?」
「何を持って、すする技術を習得した、といえるのか?」
その答えは、霧吹きを使って感じるフレーバーを、より強く感じることができたとき、です。

<つづく>

カッピングのすする技術3(2010/6/24)

 練習には、段階があります。
まず、水で挑戦します。次にお湯、そしてコーヒーとやっていきます。すすることが充分にできないのに、いきなりコーヒーでやったら、お金の無駄です。油分が少ない水でやると、霧状にすることが比較的簡単なので、水からチャレンジしましょう。

できるかな、と思うようになったら、水道水と天然水のフレーバーの違いを感じることができるか、テストしてみます。少しでも「ん、ちがうかな?」と感じることができるようになったら、お湯に進みます。

お湯の練習では、熱い温度になれることも同時に行います。

最後にコーヒーです。深炒りよりも、浅炒りの豆の方が酸味をよりふんだんに感じることができますから、浅炒り豆、シティ程度の豆を練習に使うと良いでしょう。

僕の場合ですが、マスターするのに3ヶ月ほどでできるようになりました。
隠房の講座で、まず腹式呼吸をすればいい、と教えられたのが、進歩のきっかけでした。呼吸法で勢いを付ける方法はわかったのですが、どこに勢いを付けてあてればよいかが、わかりませんでした。
むせて、むせてしょうがなかったです(汗

1日3回、水で練習しました。1回でもむせてしまうと、しばらくできません。口の中が全体的に緊張してしまうからです。1回の練習は、はじめは5分程度でした。

2週間くらいすると、水に慣れました。そしてお湯、コーヒーとランダムに練習を重ねて、フレーバーを感じるようになりましたが、今度は1度に口に含むコーヒーの量に悩みました。

スプーンになみなみとコーヒーをよそってすするのは、僕にとってはちょっと多いのに気づき、量を調整しましたが、これで2週間くらい取られました。

すするときに、液体が下唇の先端に勢いよく当たり、さらに前歯の間を強く通過していく奇妙なクセにもなやみました。これはすすることに集中しすぎて、唇の周囲が緊張してしまったことでできたことでした。

今ではカッパーの人たちがやるように、4通りくらいのすすり方ができるようになったと思います。
1.とにかく多い量を勢いよく吸う
2.小ロットで数回連続してすすりながら細かく酸味を取っていく
3.細く長目に吸い、アフターテーストをチェックするすすり方にする
4.吸い方をゆるくし、ボディと時間経過後の酸味の変化をチェックする

ひとつの技術に到るまでに、色々あるものです。

カッピングのすする技術1(2010/6/23)

カッピングは、誰にでもできる技術とは、言いがたい面があります。その理由は、特殊なすする技術。結構、これが壁になっています。これができないと、フレーバーを感じることができません。練習しても、練習してもだめ。そして、カッピングからは遠ざかってしまいます。

しかし、
カッピングを推奨したり、講座を開いているコーヒー専門店のほとんどすべてが、このすする技術についての講義をしません。フレーバーを感じるためのブラインドなど、もっと後になってから関心を払うべきことが優先されてしまっています。そもそもすすれなければ、フレーバーもくそもありません。感じない技術で何度カッピングを重ねても、時間と労力が無駄に消費されるだけです。お金を払ってカッピング講座を受けている人にとっては、お金すら無駄にしていると思います。

ということで、カッピングのすする技術について、ここではしっかりと書いておきます。

カッピングのすする技術。
これができると何が起こるのでしょう?
それは、のどごしで感じる味以上にコーヒーが持っているフレーバーを多様に感じることができるようになることです。

「味」とは、舌の面で感じるのと同時に、香りや味が気化した空気が鼻に抜けていくときに感じます。どちらかというと、空気が鼻に抜けていくときのほうが、味覚を強く感じることができます。鼻をつまんで食べ物を食べてみるとよくわかると思います。空気が鼻に抜けていかないと、味覚は強くなりません。すする技術では、コーヒー液を霧状にして口の中に広く、瞬時に噴霧することで、「気化した空気が鼻にぬけていく」味覚を強化します。

すする技術ができるようになると、コーヒーの味は、どう感じることができるのでしょうか?

たとえば、コロンビア・オズワルド・シティーロースト。
ドリップしたコーヒーを飲んで感じる感想は、せいぜい
「のどごしすっきり。コクもすっきり」程度ではないでしょうか?
しかし、カッピングをして感じるフレーバーをリストしていくと、
「酸味は非常にブライトネス。夏を思わせる明るくてすっきりした印象」
「ピーナッツのような甘さ。ナッツのような甘い香りが鼻に抜けていく」
というような感想が出てきます。

少しでもすすりやすくするために、やはり専門のカッピングスプーンを使ったほうがいいです。
改めて、これがスプーン。

底が他のスプーンよりもやや深めになっていて、1回の吸引にちょうど良いサイズになってます。

では、実践。ポイントをいくつか。

1.すするには、腹式呼吸が必要です
2.のどにぶちあてるイメージで強くすすります
3.基本的にむせます。むせないようにするために、首で角度を調整します
4.イメージをつかむために、霧吹きを使いましょ

<つづく>

カッピングの手順(2010/6/22)

カッピングの手順は、

 1)コーヒー豆を粉にし、
 2)お湯を注ぎ、
 3)3分待ち、
 4)ちょいとかきまぜ(ブレークという)、
 5)また3分待ち、
 6)あくを取り除いて、
 7)すすって評価

という順番になります。カップラーメンのノリかな?
カッピングに使うグラスは「カッピンググラス」とか言っていますが、要はデュラレックスのピカルディで、色々な雑貨屋さんで簡単に手に入るものです。


これは、2つ分作ったとき(カッピング終了後)の写真です。

●どうやって、カッピング用のコーヒーを準備するのか?
SCAA方式のプロトコルでは、「湯150mlに対しコーヒー8.25gが適当」としていますが、0.25gなんて家庭の量りでははかれませんから、8g150mlで僕は抽出してしまっています。

カッピンググラスにお湯を注ぐ理由は、陶器や磁器だと、味に変化がおきてしまうからです。酸の微妙な味をはかるので、器効果は返って害になりますから注意が必要です。

カッピングは1銘柄に対し1グラスにしています。本当は2グラス以上作りたいですが、100g500円もする高い豆を使うわけですから、なるべく少なく使いたいのが本音です。どうして複数のグラスを作らなければならないか、というと、カッピングではへぼ豆1個混入しているだけで、味が違ってしまうのがわかってしまうからです。僕も何度もそういった味の違いが出たケースを体験しています。ばらつきの多い銘柄だと、このカップを複数作るのは、評価に大きな影響を及ぼす、というわけです。

カッピング評価でのポイント(2010/6/22)

カッピング評価は、
 A)粉の状態での香りについて
 B)お湯を入れたときに出る香りの変化について
 C)抽出が済んで酸味の特徴をはかることについて

と、大きくわけて3つの分野でそれぞれ評価をポイント化していきます。

 

 カッピングをやりはじめて、いきなりポイントを付けられるものなのか?というと、そう簡単にできるものではありません。まず、これだけのチェック項目を、ひとすすりでポイントができるか、ということは想像に難くないですし。すする技術でまず大変。そして、ボディを感じる経験をつむことが必要になります。まあ、100回カッピングをやったら、これらのポイント付けは意識しはじめてよい、と思っておけば妥当かな、と思います。ちなみにプロでは、7,8年かかるそうですが、これは世界の豆の味を知るための経験の積み重ね、という意味での7,8年ですから、基本的な銘柄をあてるのは、もっと短い、と思います。

さて、カッピングでの評価ポイントですが。

 

 

このコンテンツのつづきはこちらにて。

ゆるコーヒー会:スペシャルティコーヒーをテースティング!カッピング評価での注意するべきポイント
http://yourucoffee.com/post-295.html

 

カッピングの評価項目(2010/6/21)

コーヒーの酸の質を見極め、良いところをポイント化していこう、というカッピングの評価項目について、簡単にまとめておきます。今回はカッピングの本家・SCAAフォーマットで説明します。SCAJ式に馴染みがある人もいると思いますが、それは評価項目の英語を日本語に替え、かつポイントをつけるときの感覚を10点法ではなく8点法により簡素化させただけの違いです。簡素化させたといっても、大した変更ではないので、本家のスタイルをまず知っておくことに難はないと思います。

カッピングフォームは、こんなかんじです。 これはSCAA式です。

こちらがSCAJフォーマットです。

ポイントをつけていく項目は10項目。わたしたちはその最初の6項目に特に集中します。後半の4項目は、「どんな豆かわからない」という状況のときに集中する項目です。わたしたちはすでにスペシャルティーコーヒーをカッピングすることがわかっているので、この4項目は基本的に満点をつけるのが通常です。

 

このコンテンツのつづきはこちらにて。

ゆるコーヒー会:スペシャルティコーヒーのテースティング技術・カッピングの評価項目と自宅でやるポイント

 http://yourucoffee.com/post-283.html ‎

 

カッピング(2010/6/1)

「カッピング」とググってみると、カッピング吸玉療法という治療法のリストがでてきますが、僕の言うそれは、コーヒーのテーストをチェックする技術のことをさします。

カッピングでは専用のスプーンを使って、特殊なすすりかたをして味覚を鋭くし、コーヒーの酸の持つ特徴(良い点)を明確に点数化・あるいは表現していこう、という技術をいいます。

 

つづきの記事は、ゆるコーヒー会ページへ移設しました。

 http://yourucoffee.com/post-260.html